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韓国映画『悪魔の倫理学』感想 – 誰が一番悪いのか考えてみよう、シニカルなブラックコメディ結構おすすめ

3.5
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悪魔の倫理学 あらすじ

ルームサロンのホステス兼モデルもつとめていた美人女子大生のジナ(コ・ソンヒ)が殺害された。

マンションの隣に住む警察官ジョンフン(イ・ジェフン)はその一部始終を盗聴していた。犯人はジナにストーカーのようにつきまとっていた元恋人のキム・テフン。

しかし、殺される直前に一緒に過ごしていた不倫相手のキム教授(カク・トウォン)が逮捕された。

ジナに大金を貸していたた闇金業者のミョンノク(チョ・ジヌン)が事態をかき回し、誰のせいでジナが死んだかの罪の擦り付け合いが始まった…。

悪魔の倫理学 感想

邦題から、社会派系バイオレンスノワールと思ったらちがった。
原題は怒りの倫理学で、テイストはブラックコメディだと思う。

結構キャストが豪華。ただ、出ている人間全員クズである。
そのクズたちの中で誰が一番クズかを問うのがこの映画の『倫理学』のようだ。

映画は上空から俯瞰した印象的な構図からはじまる。
そして場面の切り替えが配線やダクトをたどるように移動して、おしゃれな感じ。

高級クラブ(ルームサロン)の入り口階段を出ると、しょぼい路地裏だったり、韓国社会の表裏を象徴的に見せる演出がきいてる。

誠実な警察官のようでいて、変態盗聴者。
人の優しいオジサンのようでいて、暴力的な闇金。
いやらしい中年男だけど、純粋に愛していた大学教授。
純粋に愛しているといいつつ、ストーカーな奴。

どれも甲乙つけがたい悪人だし、出てくる女性も清廉潔癖とは言い難い。
正義と悪、応援したい立場がくるくる入れ替わる、これを楽しむのがこの映画の目的か。

チョ・ジヌン演じる闇金業者が、印象的な語りをする。

人間の感情で、一番強い感情は怒りだ。怒っているときは他の感情はわかない。
怒りを制すればすべての感情を操れる。

と、

ただその場面、ホステスの”サービス”に目が行ってギリシャ神話の説明などにも気が回らない。
風俗で説教たれるおやじのようだ。

笑い声をあげるわけではないが、にやりとするシニカルコメディ。

クライマックスのフォトスタジオの場面がとくに圧巻だが、台詞が多くいい意味で演劇チック。

ちょっと変わった韓国ノワールが見たいならおすすめかもしれない。自分は結構好き。

倫理学とは:人間の行為や社会関係を支配する道徳について、その起源・発達・本質・意味を研究する学問。

自分は殺したストーカー男がどう考えても悪いと思うが、GGのホステスもなかなか…。

悪魔の倫理学 映画情報

公開年:2013年
上映時間:110分
原題;분노의 윤리학(怒りの倫理学)
監督:パク・ミョンナン

悪魔の倫理学 キャスト

イ・ジェフン:キム・ジョンフン、警察官、交通係
チョ・ジヌン:パク・ミョンノク、闇金業者
カク・トウォン:キム・ステク、国立大学教授
コ・ソンヒ:キム・ジナ、女子大生、モデル、ルームサロンホステス
キム・テフン:ハン・ヒョンス、ジナの元恋人
ムン・ソリ:キム・ソンファ、ステクの妻
イ・ウヌ:ウニョン、ルームサロンGGのホステス
イ・セビョル:イ・ジヨン、現在のヒョンスの恋人
ハン・ソンヨン:ミンテ、ミョンノクの部下
イ・スンジュン:検察捜査官
チェ・グァンイル:チェ弁護士、ステクの弁護士
パク・ピョンウン:イ・ジフン、カメラマン
キム・ギチョン:警備員
ミン・ボッキ:GGクォン社長
パク・キルス:電子部品商店 社長