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韓国映画『グローリーデイ』感想 – アイドル青春映画にしてはあまりにも重たい、監督が伝えたかったのは何なのだろう?

2.5
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グローリーデイ(字幕版)

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グローリーデイ あらすじ

二十歳になったばかりのヨンビ(ジス)、サンウ(EXOスホ)、ジゴン(リュ・ジュニョル)、ドゥマン(キム・ヒチャン)は、入隊するサンウを見送るため、海に旅行に出掛ける。

成長した気分で、すっかり調子に乗っていた4人は、ある事件に巻き込まれ、警察に追われることになる…。

グローリーデイ 感想 ネタバレ

おそらくアイドル俳優ファンの動員を目的に造られ映画なのだと思ったが、もしかしたら監督の描きたかったところは別にあったのかもしれない。

映画を見る際、必ず撮影監督の他の作品を確認する。失敗作と思われる作品を出した監督は1作品のみを世に出しただけで、その後の消息が分からない監督も多い。
この映画の監督、チェ・ジョンヨル監督はマ・ドンソクを起用して話題となった映画『スタートアップ』をこの作品の後に出している。
ということは、それなりの成功、もしくは資金を集めることに成功したというわけだ。

スタートアップは自分はまだ見ていないが、割と失敗作らしいという話も聞く。

さて、この映画の本題に入ろう。
原題も『グローリーデイ』、英語の意味は『栄光の日』あたりであろうか。
しかし、なぜか英語タイトルは『One Way Trip』である。
邦題は意味不明にひねってつけられることが多いが、普通、英語のタイトルは原題そのままの場合が多い。
それは、あまりにも内容がグローリーデイという原題から乖離しているからではないだろうか。

主演はジス。ドラマのト・ボンスンなどでイケメン俳優としてのキャリアを着実にステップアップしている俳優だ。演技力もなかなかであり、この映画で共演しているリュ・ジュニョルに次ぐ次世代俳優だとにらんでいる。

そしてこの映画の呼び物はEXOのスホだろう。彼はキーとなる重要な役柄なのだが、出番は非常に少ない。おそらくはスケジュール調整の都合とにらんだがどうだろうか。
他の出演者との撮影時間がとれず、この損な役回りに台本が書かれたのではないかと思ってしまう。

ちなみに、ジスが演じるヨンビの兄役で、神話のドンワンも出演している。時の流れを感じる。

仲良し五人組のニ十歳、韓国では数え年で生まれた時が1歳であり、年が明けると一斉にひとつ年をとるので、満年齢でいくと18を過ぎたところになる。
この年頃を描いた映画には『ニ十歳』がある。自分はあまり好きな映画ではないが、若気の至りのワイワイを面白可笑しく描いたある意味アイドル映画だった。

このグローリーデイもそうかなと思って期待をせずに見た。
冒頭は警察に何か誤解で追われる姿、そしてさかのぼってその日に何があったかを描いていくスタイル。

悪友たち同士。無理やりサボらせたり、親や大人に迷惑かけて、好きかってはしゃぐ。
こいつら調子に乗っていてあまり好きじゃないな、、と老害心がざわめく。

ジゴンのセリフに

日本が嫌いな人は多くても、日本ののAVが嫌いな奴はいないだろ
いらっしゃいませー!チーズバーガーセットお願いしま~す

というのがあった。
日本が嫌いな人は多くても、は字幕になっていなかったが、自分はしっかり聞き取れるぞ。
日本語の発音はよかった。韓国人はなぜか「いらっしゃいませ~」をよく覚えている。

アイドルが出ているゆえに、投資も受けられ、日本で公開されることも踏んでいるであろうこの映画で、何も意味なくこのセリフを入れるはずはない。
政治と文化は別ということか。

彼らはぼろぼろの車に乗って、浦項(ポハン)という海辺の町へ向かう。
63ビルのほうを抜けて、高速に乗る、自分もこういう道を通ったっけなとしばしロードムービー気分。
そこまではよかった。

バカ若者たちのおふざけかと思いきや、話が意外な方向にいって目が離せなくなる。
事件を起こすだろうなと思ったが、展開がおかしいのである。いつもと違う!

だんだん罪の擦り付け合いをしあう友達同士、汚い人間の本性が明らかになる。
友達なんて本当にこんなもんだ。すぐに切れる性格も災いする。

お決まりのいつもの”警察がだめ”これも、この映画ではさらに度を越している。
ちょっといい警察官もいて、話が進むかと思いきや…。

この映画が言いたかったのは、

  • 人助けはしないほうあいい
  • 友情はもろい
  • 金と権力にあらがえない

ということなのだろうか?

親が犯罪者だとそれだけで悪く見られる。

ひき逃げ犯人もつかまらないし、アナウンサーは立場が変わらないまま。
サンウは罪をかぶったまま死ぬ

ただただ不条理。救いもへったくれもない。

映画と言うのは、見る前と見た後で、何か意識が変わることを狙って作られるのではないだろうか。
例えば笑顔になって、もしくは怒りを持って、扉を出ていく。

もしかしたらこんな腐った韓国社会に対する批判なのかもしれないが、じゃあ変えてやろうという気持ちになれない。
余計なことして人助けなんかしたから、ヨンビなんかとつきあったから、親の言う事きかなかったから、こいつらが悪いんだ、という気持ちにしかなりづらい。

警察にも、有名人の権力にも、市議会議員の親にも、監督の親にも、子どもたちは絶対に勝てない。
悪い奴らは制裁をうけず、金だけが解決策、その現実だけを突き付けられた感じだ。

冤罪ものたくさん見てきたけど、ここまで監督が何がいいたいかわからないのは初めてだ。
アイドルを魅力的に見せたい映画なら別の方法が良かったのではないだろうか。

見た印象的にはアンダードッグに近いが、アンダードックのほうがまだコミカルな面で救いがあった気もする。

自分はいわゆる胸糞系の韓国映画は結構好きな方だ、哀しき獣などは不条理で救いがないが、主人公に対するシンパシーや、実際に底辺で生きている人たちについて思いを馳せることができる余韻があった。

胸糞には胸糞なりの救いや残るものがあるのだが、この映画はおそらく今後思い出すことも再度見ることもないと思う。

アイドル俳優が出ていなかったら、この映画はどうだったか?少し興味がある。

ただ淡々と韓国の現実を描きたかったのかもしれないが、だとした夢も希望もないな。

グローリーデイ 映画情報

公開年:2015年
上映時間:93分
原題:글로리데이(グローリーデイ)
監督:チェ・ジョンヨル

グローリーデイ 監督

ジス:キム・ヨンビ、浪人生
スホ(EXO):チョン・サンウ、海兵隊入隊前
リュ・ジュニョル:ユン・ジゴン、浪人生、市議会議員の息子
キム・ヒチャン:パク・ドゥマン、大学生、野球監督の息子
キム・ドンワン:ヨンビの兄、兄弟カーセンター
キム・ジョンス:オチーム長、刑事
チェ・ジュニョン:チェ刑事、チェ・チャンミン
イ・ジュシル:サンウの祖母
ムン・ヒギョン:ジゴンの母
ユ・ハボク:ドゥマンの父
イ・ジヨン:パク・ウネ、浦項放送 アナウンサー