ヘウォンの恋愛日記 あらすじ
大学生のヘウォン(チョン・ウンチェ)は、カナダに移住する母とソウルで最後のひと時を過ごす。
母と別れた後、寂しさを紛らわすために不倫相手の大学教授ソンジュン(イ・ソンギュン)を呼び出す。
だらだらと秘密の関係を続けていた二人だったが、ヘウォンの同級生たちが飲んでいる店に出くわしてしまう…。
ヘウォンの恋愛日記 感想
ある意味外れないホン・サンス監督作品。
何もしたくない時ぼーっと眺めて居たい
手書きのロゴ。オープニングからして好き
原題は『誰の娘でもないヘウォン』、変なロマンチックっぽい邦題やめてほしい。
ヘウォンが日記をつける所から始まる。
この話は、事実なのか、それともヘウォンの妄想なのか。
私のおじさんイ・ソンギュンはホン・サンス監督にかかるとだらしない糞ドクズ男に変身する。
今の所私がみたことのあるホン・サンス監督作品は全て主役が教授兼映画監督。
ホン・サンス監督自身を描写しているのだろう。
冒頭でジェーンバーキンが出てきて驚く、あのジェーンバーキン?
ゲンズブールの恋人の?
娘の話をするがシャルロットのことだね。
どうやら、バーキンがホンサンス監督のファンらしく、忙しい合間をぬって撮影現場に顔をだしたそうだ。
さすが世界的監督。フランスではとても評価が高いそうだ。
現実はすべて偶然の産物だけど映画はすべて意図的にやられている。
犬が横切る姿や、おばさんがランニングする姿などもそうなのだろう。
だいたいパワハラおじさん役をやるキム・ウィソンが、この映画ではかっこいい。
理想の男性みたいに描かれている。スコセッシと話すの笑った。
でもこれも夢か妄想か。
喋っちゃいけない秘密も、関係ない人いほど喋っちゃうんだよな。
それをなかったことにしたい気持ちになる。
似たような場面の繰り返しと、微妙な差異で物語を進めるのはこの監督の作品に共通するところ。
女の煮え切らなさ、男の自分勝手さを、傍観するかのようにずうっと見て居られる心地よさ。
いつも出てくるつまらなそうな飲み会も疑似参加してるようで楽しい。
夢落ちなのか、どこまで日記に書いたのか、事実描写なのか、なんかそんなことどうでもいいのかも…
自分の話になるが、25年ぶりに高校の同級生の友達たちと再会したとき、思い出話に花をさかせたのだが、記憶に差異がかなりあったことに驚いた。
同じ出来事を違うように記憶しているのだ、誰も嘘をついているわけではない、でも何が事実なのかももうわからない。
言いきること、書いて記録してしまったのが勝ちなのかもしれない
不都合な現実は、自分の中でいい思い出に書きかえて残しておけばいいのでは。。
自分の歴史を修正したくなる。
大学教授の関係とかも、思えば、自分はとても仲がよかったのだが、すぐにつきあってると噂されていた。
そんな事実はないのに、きっと周囲は本当にそうだと思っていた人もいるのだろう。
人の認識、事実と夢の境界など、少し考えを馳せてしまう映画だ。
ハマる人ははまるし、好きじゃない人は好きじゃないかも。
- かかっている曲はベートーベンの7番交響曲第2楽章だそうだ
- ヘウォンの母のキム・ジャオクは余命いくばくもなかったそうで、遺作となった。本人も覚悟しており、監督も彼女の遺言を残す意味合いもあったそうだ。
- ヘウォンの友達の客室乗務員カップルは、ホンサンス監督の『ハハハ』と同じ設定の人物
ヘウォンの恋愛日記 映画情報
公開年:2013年
上映時間:90分
原題:누구의 딸도 아닌 해원(誰の娘でもないヘウォン)
監督:ホン・サンス
ヘウォンの恋愛日記 キャスト
チョン・ウンチェ:ヘウォン、映画科 大学生
イ・ソンギュン:イ・ソンジュン、映画監督 大学教授
キム・ジャオク:チンジュ、ヘウォンの母
キ・ジュボン:フウォン、登山のおじさん
キム・ウィソン:チュンウォン、大学教授、スコセッシと仲良し
イェ・ジウォン:ヨンジュ、ヘウォンの友だち、客室乗務員 スチュワーデス
ユ・ジュンサン:チュンシク、ヨンジュの恋人
リュ・ドックァン:トンジュ、古本カフェ
アン・ジェホン:ジェホン、ヘウォンの元カレ
ペ・ユラム:ユラム、ヘウォンの同級生
ジェーン・バーキン:ジェーン・バーキン、西村への観光客