自由が丘で あらすじ
思いをよせる年上の韓国人女性クォン(ソ・ヨンファ)を追いかけて、ソウルへとやってきた日本人、森(加瀬亮)。
しかし、彼女は見つからず、彼女に宛てた日記のような手紙を書き始める。
手紙は落ちてバラバラになり、順番がわからなくなる。
同じゲストハウスに泊まっているアメリカ帰りの男(キム・ウィソン)と仲良くなったり、カフェ『自由が丘』の女主人ヨンソン(ムン・ソリ)と急接近。
モリは彼女に会えるのだろうか?
自由が丘で 感想
ホン・サンスにはずれなし。
期待値を裏切らないまま、作品ごとにクオリティはどんどん上がっていく。
手紙がバラけて時間軸がシャッフルされる。
こういうタイムリープも面白い。
自分ごとだが、韓国でほぼ同じハノクに泊まった。地域も似たような感じ。
なので見ているだけで自分が旅している感覚になる。
ホン・サンスの映画は常にカメラの目線が、一般庶民の目線とほぼ同じというか、変に誇張やフィルターがかかっていないのでリアリティがある。
特にこの作品の場合、主人公が日本人の加瀬亮だというところも、日本人鑑賞者として没入感を誘ってくれる。
会話は加瀬亮が韓国語が話せない設定なのでほとんどが英語。しかもつたない英語だ。
それなのに妙に高尚な言い回しをしていたりする。
字幕に頼らず味わってみたいところ。
特に印象的なセリフは、ユン・ヨジョン演じるゲストハウス主人と、森の会話だ。
「日本人が好き、礼儀正しくて親切で清潔」というゲストハウス主人に対し。
森は
「低次元の韓国人は嫌いだけど、この世で最も尊敬する女性も韓国人なんです。
だから”韓国人”とひとくくりにしたくない。馬鹿げている。」
と答える。これはもちろん日韓関係を象徴している。
「大きくて、強い」というキーワードも意味深だ。
加瀬亮演じる森の読んでいる本のタイトルは哲学者吉田健一の『時間』
森が見ている夢と現実の区別もついていない。
犬の名前はクミ(꿈이 夢)
こういうメタファーが散りばめられていて、何度かみても楽しめると思う。
飲んで遊んで帰ってきた週末の深夜や、気だるい日曜の午後なんかにどっぷり浸るのもいいかも。
自由が丘で 映画情報
公開年:2014年
上映時間:66分
原題:자유의 언덕(自由の丘)
監督:ホン・サンス
自由が丘で キャスト
加瀬亮:森、元語学学校講師
ムン・ソリ:ヨンソン、カフェ自由が丘のオーナー
ソ・ヨンファ:クォン、森の尊敬する人
キム・ウィソン:サンウォン、クオクの甥
ユン・ヨジョン:クオク、韓屋ゲストハウス主人
チョン・ウンチェ:ナミ、宿泊客
キ・ジュボン:ナミの父
イ・ミヌ:チ・グァンヒョン、プロデューサー