あらすじ
ごく平凡な生活を送っていたオ・デス(チェ・ミンシク)はある日突然誘拐され、15年間監禁される。
解放された後に出会った美女ミド(カン・ヘジョン)とともに、監禁された理由を解き明かし、復讐を試みる5日間の物語。
感想
「復讐者に憐れみを」、「親切なクムジャさん」とともにパク・チャヌク監督の復讐3部作。
原作は土屋ガロン作、嶺岸信明画による漫画。
2004年カンヌ国際映画祭グランプリを受賞。タランティーノが絶賛したバイオレンス・アクションとのこと。
予想していたよりもだいぶ面白く、それほど嫌な気分にもならなかった。
むしろ画面の美しさを堪能し、敵役イ・ウジンを演じたユ・ジテにときめいたのは収穫だった。
カンヌ、そしてタランティーノとくれば、だいたいいやーな後味のものを想像する。
特に「カンヌ出品作」というのどうも眉唾な先入観を持っている自分だ。
意味もなく暴力とセックスが描かれて、構図に凝って色フィルターかけ、わけのわからない展開にすればゲージツ作の出来上がり、という安易な印象を持ってしまっている。
現に、最近見た国際映画祭出品作の某作品(韓国映画ではない)を見て、思った通りの出来にゲンナリしていたところだった。
正直、Huluの配信期限でなければ、後回しにしてきた作品だ。
だが、さすがにグランプリ受賞作となるとやはり違った。
バイオレンスもエロも必然性がある。
そして、暴力描写にも工夫が有り、弱い自分でも、ギリギリ目をそらさずにいられた。
なにより主演チェ・ミンシクがすごい。
この映画中で、10キロの体重コントロールをし、監禁前と後で全く違う印象の人物を演じた。
シュリの北朝鮮兵、親切なクムジャさんの殺人鬼と、ダークな役柄でその姿を見てきたが、この映画ではコミカルな側面を見せる。
最近、ケーブルテレビのバラエティ番組で、ファン・ジョンミン氏(アクシデント・カップルのドンベク)と和気あいあいと出演していて可愛かった、本当は面白いおじさんのようだ。
正直なところ○○が○というのは、自分は最初にそう思ってしまったのだが、それでも圧倒的な理由と展開で押し切られ、ストーリーを堪能できた。
印象的なセリフ
「そんなことで?」
と
「ただ、忘れたんだ。他人ごとだから」
が、脳裏に焼き付いて離れない。
復讐3部作の中では、親切なクムジャさんよりも、オールド・ボーイのほうが好きだ。
(ただし、パク・チャヌク監督作品ではJSAが一番好きだし、入門としてはおすすめだ。)
ガーンときて、すっと余韻を残す、絶妙なラストは、自分にとっては胃もたれしそうな後味を良くした。
好みが別れるものだと思うので、無理にはおすすめしないが、後学のために見るには良いと思う。