復讐のトリック あらすじ
終戦直前の1947年、ソウルで殺人事件が発生した。現場に残されていたのは、右人差し指だけ。遺体は火炉のなかで焼き尽くされていた。
死体なき殺人は無罪と主張する弁護士と、遺留品や証言で有罪に導こうとする検事(パク・ソンウン)。
物語は事件の背景をたどるように進行する。
アブドラー・リーを名乗るマジシャン、ソクチン(コ・ス)は、運転手とトラブルになっているハヨン(イム・ファヨン)を助け、二人は恋に落ちていく…。
復讐のトリック 感想
まず、公式で出ている話の紹介のためのあらすじで名前や立場が明記されてしまっている。
それが出ちゃったら半分以上ネタバレしてしまっているようなもの、さらに事件の真相ははどうかというところまで察しもついてしまうから致命的ではないか。
自分はそれが怖くて紹介文もできるだけ見ないようにしている。
原作は、アメリカの作家ビル・S・バリンジャーの1955年の推理小説『歯と爪』
この小説原作は、後半が袋とじになっていて、面白くなくて袋とじを開ける気にならなければ、書店に返品すればお代は返します。という面白いマーケティング手法をとった作品だったそうだ。
ただし、自分はこれを読んでいない。
お話しは、法廷と回想シーンが交代して進行する。
最初何の話をしているかわからないのだが、だんだん話が繋がってくる、これがこの映画の最大の醍醐味だと思う。
パク・ソンウンがクセのない普通の感じの検事をしていて、ちょっと違和感。
コ・スは、イケメンだが特徴がない感じを活かして上手いキャスティングだったと思う。
キム・ジュヒョクは、遺作ではないが、交通事故で亡くなってしまう少し前の作品。
ミステリアスな役がぴったりだ。
鰻の男で見て気に入った女優、イム・ファヨンがヒロインとして登場。
この時代の美女の雰囲気を見事に表現している。
カメオで出演したオ・グァンノクが素晴らしい!絵になる!と劇中で言っていたが、まさにその通り。
太平洋戦争の終戦後の日本はひどい焼け野原のあり様だったが、大日本帝国が占領していた京城、今のソウルは無傷で華麗な都市だったらしいというのが、韓国映画を見るとなんとなくつかめてくる。
この映画自体、韓国の映画サイトを見ると、19世紀ヨーロッパをモチーフにしていたそうで、史実とは違うということも指摘されている。
しかし、日帝時代を描いた映画は、舞台設定がとにかくロマンチックで素敵なものが多い。京城学校や、愛を歌う花などにそれを見ることができる。
日本でいうと大正ロマンに近いものがある。
生きた証人がだんだんいなくなるあいまいな時代、時代劇ではない近現代、全くファンタジーの世界ではないが、なんだか素敵な御伽話のように描くにはちょうどいい時代設定なのかもしれない。
建物やインテリアも素敵だし、ファッションもおしゃれ。
素敵なマジックショーなどを絡めた回想シーンと、現実味のある法廷シーンとの交互進行で、ちょっと没入を阻害されるというか、テンポが悪い気もしたのも正直なところ。
ところで、法廷シーンで、血液型の話が出て、韓国はA型が多くてO型が一番少ない?と言っていた気がするのだが、本当だろうか。
ちなみに血液型占いを信じるのは日本と韓国だけと聞いたことがある。
今調べたところ
A型(34%)>O型(28%)>B型(27%)>AB型(11%)だそうだ
ちなみに日本人は
A型(38%)>O型(29%)>B型(22%)>AB型(11%)
なんとなく韓国人はB型が多いイメージを勝手に抱いていたが、比率は日本より多いものの、順番は日本人と同じだった。
映画の話に戻るが、この時代設定に欠かせないのが日本人描写。
保守的な人にはこの日本人の描写がすべて反日に見えるようだが、自分は短絡的にそうは思わない。
かなりの割合で、一番悪い奴の正体は、日本人のふりをした朝鮮人だったり、日本人に媚びている朝鮮人だったりする。
純粋な日本人が完全な悪人と描写されるのは意外と少ない。悪いのにカッコよかったり、主人公を助けたりするのだ。
この映画の日本人刑事も、結果的に主人公を手伝う。
ただ、この映画の日本語もひどかった…。
100歩譲って、日本人俳優をキャスティングできないのは仕方ないとしよう。
(日本人俳優の演技がダメということが多々ある)
ただ、台詞は日本人もしくはネイティブ並みの実力のある人に考証させようよ。。。。
「あいつは出てっちゃった~」
「弾こめといたから使ってみて~」
は、ないだろう…。オネエじゃないよ、ドスの利いた悪玉日本人のセリフだよ。。
慣れない外国語を使うと世界共通なのだろうかなぜか甲高い声になるから、緊迫した場面が台無しになっちゃったよ
自分は中間あたりで殺人事件の被害者が誰かと知るくらいまでが謎めいていて楽しめたが、その後はだいたい推察できちゃったよ。
あと、ドイツ語のマットの下り。当時のソウルには、日本人がたくさんいたのも事実だし、その中には医者もいたはず。
医者ならドイツ語は読めるので、一人とは限らないし。
さらには偽札を自分で使うとは考え難い・・・
ま、そこはつっこまないでおこうか。
どうも推理トリック系は洋物や、日本の2時間ドラマにすらまだ軍配があがる気がする。
映像を作る力や俳優の演技は完璧に韓国が上を行っているので、脚本力なのかなーー。。
韓国では失敗興行だったらしい。
惜しい作品だけど、楽しめないわけではなかったので★3.5
復讐のトリック 映画情報
公開年:2017年
上映時間:109分
原題:석조저택 살인사건 (石造邸宅殺人事件)
監督:チョン・シク
原作:ビル・S・バリンジャー「歯と爪」
復讐のトリック キャスト
コ・ス:イ・ソクチン、マジシャン、 アブドラ・リー
ムン・ソングン:ユン・ヨンファン、被告の弁護士、元検事
パク・ソンウン:ソン・テソク、検事
イム・ファヨン:チョン・ハヨン
キム・ジュヒョク:オカモト
パク・チア:ソンマダム、チョニホール
パク・チェイク:印刷業者、キム社長
キム・ウジン:アベ・マサヨシ、日本人刑事
オ・グァンノク:劇場支配人
キム・テウ:チャン・ジホ、法医学博士